ノイズ除去と減色は、見た目を整える機能だと思われがちですが、 本当の効果はゲーム内での打ち込み時間を削ることにあります。 写真から変換すると50色を超えることがあり、その多くは 人間の目ではほとんど区別がつかない色です。 それでも打ち込みの手はペンを持ち替えます。 このページでは、2つの機能が内部でどう判定しているのかを閾値まで開示し、 どこまで減らしてよいのかの判断基準を示します。
ゲーム内でドットを1つ置く操作は速く、慣れれば1秒かかりません。 時間を食うのはペンの色を切り替える操作のほうです。 パレットを開き、目的の色を探し、選び直す。この一連の操作は ドットを1つ置くより何倍も時間がかかります。
当ツールのブロック作業モードは、この切り替え回数を減らすように動きます。 画面をブロックに区切り、1ブロックの中で同じ色を全部塗ってから次の色に進むので、 切り替え回数は「ブロック数 × そのブロックに含まれる色数」で決まります。
色数が減ると何が起きるか
150×150 のキャンバスを 10×10 ブロックで作業する場合、ブロック数は 15×15 = 225 です。 ここで1ブロックあたりの平均色数が変わると、切り替え回数はこうなります。
| 1ブロックの平均色数 | 切り替え回数の合計 |
|---|---|
| 12色 | 2,700回 |
| 8色 | 1,800回 |
| 5色 | 1,125回 |
| 3色 | 675回 |
12色から5色に落とすだけで、切り替えが 2,700回 → 1,125回 になります。 1回3秒として見積もると、2時間以上の差です。 総ドット数は1ドットも減っていないのに、体感の作業量はまったく変わります。
重要なのは、全体の色数ではなくブロックごとの色数だという点です。 画面全体で40色使っていても、それが場所ごとにまとまっていれば 1ブロックには3〜4色しか出てきません。 逆に全体で15色でも、それが全面に細かく散っていれば、 どのブロックにも15色すべてが出てきます。散らばりが敵です。
ノイズ除去は「浮いている点」を周囲の色に吸収させる機能です。 当ツールは、まず孤立した1ドットを対象に、次の条件で判定しています。
孤立点と判定される条件(3つすべてを満たす場合)
この3つを満たしたときだけ、中央のドットを周囲の多数派の色に置き換えます。 条件が厳しめなのは、細い線や1ドットのハイライトを誤って消さないためです。 たとえば1ドット幅の線は、線に沿って同じ色の隣接ドットが2つ以上あるので、 条件3で除外されて消えません。
つまりノイズ除去は、周囲から完全に浮いている点だけを狙って消します。 意図して置いた瞳のハイライトや、細い輪郭線は基本的に残ります。
レベルは4段階です。「なし」以外はすべて、まず上記の孤立点除去を行い、 そのうえでどこまでの大きさの「島」を消すかが変わります。 島とは、周囲と違う色でつながった小さなかたまりのことです。
| レベル | 処理内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| なし | 何もしない | すでにドット絵の画像を取り込んだとき。手描きの線を1ドットも変えたくないとき |
| 弱 | 孤立した1ドットのみ除去 | イラスト、線画。細部を守りたいとき |
| 中 | 孤立点+2ドット以下の島を除去 | ふつうの写真。最初に試す設定として無難 |
| 強 | 孤立点+3ドット以下の島を除去 | 高感度で撮ったざらつきの多い写真。草・砂利・毛皮など細かい模様 |
「強」で消えるもの: 3ドット以下の島がすべて消えるということは、 小さな目・鼻の穴・遠くの窓・文字の点も消える可能性があるということです。 小さいキャンバス(30×30 など)では、顔のパーツが3ドット以下になることが普通にあります。 この場合「強」は使わず、「弱」か「中」にしてください。
迷ったら「中」から。 結果を見て、まだざらついているなら「強」、 消えてほしくないものが消えたなら「弱」に動かします。 当ツールはプレビューで結果を確認してから確定できるので、 行ったり来たりして構いません。
減色は、似た色どうしをまとめて色数を減らす機能です。 当ツールは次の手順で統合先を決めています。
統合の決め方
使用数の多い色に吸収させるので、面積の大きい部分の色は変わりません。 変わるのは、少ししか使われていない色のほうです。 これにより、見た目の印象を保ったまま色数だけを落とせます。
統合の推奨・非推奨は、色差と使用数の組み合わせで決まります。
| 条件 | 扱い | 意味 |
|---|---|---|
| 色差が 5.0 未満 | 統合を推奨 | ほぼ同じ色。まとめても見た目はほぼ変わらない |
| 使用数が 100ドット未満かつ近い色 | 統合を推奨 | ごく狭い面積にしか使われていない。消しても影響が小さい |
| 上記以外で近い色 | 任意 | 必要なら統合できるが、見た目が変わる可能性がある |
色差5.0という数値の意味: 当ツールのパレット142色の中で、最も近い2色の色差は 1.9 です (#E7D5D4 と #E9D5D0)。人間の目ではまず区別がつきません。 色差5.0未満というのは、この「ほぼ同じ色」の範囲を少し広げた程度で、 並べて比較しないと気づかないレベルです。 だからこそ、推奨される統合は迷わず適用して問題ありません。
減らせば減らすほど楽になりますが、限度を超えると絵が破綻します。 題材とキャンバスの大きさによって、適正な色数は変わります。
| 題材 | 目安の色数 | 注意点 |
|---|---|---|
| ロゴ・アイコン・記号 | 2〜6色 | むしろ色数を絞ったほうが締まる |
| アニメ調イラスト | 8〜16色 | 肌の陰影で最低3色は確保したい |
| 風景写真 | 16〜24色 | 空のグラデーションを削りすぎると帯が出る |
| 人物写真 | 20〜32色 | 肌の階調が命。ここを削ると一気に不自然になる |
もうひとつの軸がキャンバスの大きさです。 小さいキャンバスに多い色数を入れても、1色あたりの面積が数ドットしかなくなり、 見た目には効かないのに打ち込みだけが重くなります。
キャンバスの大きさから見た上限の考え方
1色あたり最低でも30ドット程度は確保したいところです。 この基準でいくと、900ドットの 30×30 なら実質30色が上限、 2,500ドットの 50×50 なら80色相当ですが、 小さい絵ほど色数を絞ったほうが輪郭がはっきりして見栄えします。 30×30 なら 6〜10色、50×50 なら 10〜16色に収めると、 ドット絵らしい明快さが出ます。
自動の推奨に任せるだけでは届かない場面があります。 そんなときは手動でどの色を消すか指定できます。 消した色は、自動的に最も近い色に吸収されます。
手動が効く場面①:背景を1色にしたい
背景にわずかなグラデーションが残っていると、 広い面積が細かく色分けされ、どのブロックにも背景色が複数入ってきます。 背景に使われている近い色を手動でまとめて1色にすると、 20×20のブロックが一気に使えるようになることがあります。 効果が最も大きい操作です。
手動が効く場面②:特定の色だけ残したい
キャラクターの瞳の色や、ロゴのブランドカラーなど、 「使用数は少ないが絶対に残したい色」があります。 自動減色は使用数が少ない色から統合するので、 こうした色が消える可能性があります。手動で対象から外してください。
手動が効く場面③:似た色が2つに割れている
パレットには色差1.9しか違わない色が同居しています。 そのため、本来1色で塗るべき面が、写真のわずかなムラで2色に割れることがあります。 見た目では気づきにくいので、色の一覧を見て 「同じに見える色が2つ並んでいないか」を確認してください。 見つけたら片方を消すだけで、その面はきれいに1色にまとまります。
ノイズ除去をかけ過ぎた場合
減色し過ぎた場合
バンディングが出た場合、色を戻すほかにディザリングという手もあります。 これは2色を交互に配置して中間色に見せる技法で、 少ない色数のまま階調を表現できます。 詳しくはディザリングとグラデーションを参照してください。
手順
ノイズ除去を先にするのがポイントです。順序が逆だと、 ノイズとして消えるはずだった色を残したまま減色することになり、判断が濁ります。
挿入画像にも使えます: 減色は、あとから別の画像を差し込んだ部分にも個別に適用できます。 本の表紙・背表紙・裏表紙のように区画ごとに違う画像を入れた場合、 区画ごとに色数を整理できます。